About Alice アリスを知ろう

♠『不思議の国のアリス』

不思議の国のアリス
世界で読み続けられている、最も有名なファンタジーです。
19世紀のイギリスで、数学教師のチャールズ・ラトウィッジ・ドッドソン(ペンネームのルイス・キャロルの方が有名ですね!)が、川遊びの相手をしていた三姉妹に、即興で語って聞かせた物語を出版することに。 すると、ニヤニヤ笑いのチェシャー・ネコや帽子屋のお茶会など、ハチャメチャな世界が大評判になって、当時の君主ヴィクトリア女王までが大ファンになりました。
外国でも次々翻訳され続け、150年を超えた今では170言語以上に!子どもから大人まで、世界中にアリスが大好きなファンがいっぱいです。

♥ ルイス・キャロルの夢がかなった!

ルイス・キャロルの夢がかなった!
川遊びの時のお話を、三姉妹の次女、アリスにせがまれ、必死に童話に書き上げたルイス・キャロル。真面目なキャロルは、大好きなアリスの願いをかなえようと必死でした。でも初めてマクミラン社に、自分の手書きの挿絵を付けた『不思議の国のアリス』の原稿(実際のタイトルは『地下の国のアリス』)を持ち込んで見せたとき、腕利きのアレクサンダー・マクミランは、すぐにこの新しい冒険物語のほんとうの価値を見通したようです。プロの挿絵画家「ジョン・テニエル」を紹介し、深い愛情を持って、二人の天才の希望を取り入れ出版しました。すると、このファンタジーは、まず英国で大成功を収め、なんと、すぐにフランス、ドイツ、イタリアでも出版が始まったのです!手厳しいことで知られる英国のメディアからも、以下のような称賛が寄せられました。
「物語はと言うか、あるいは夢はというべきか、完全なナンセンスだ。だが、かくも優雅でユーモアにあふれたナンセンスは、読み終えるまで下には置けないだろう」
―――ガーディアン紙
「第一級の賢いナンセンスの子供の本。純粋な楽しみ以外に何の意図も狙いもなく、道徳のかけらも匂わせていない」
―――リテラリィ・チャーチマン
(書評2点の引用:『不思議の国のアリス コンプリート・イラストレーションズ テニエルのカラー挿絵全集』 ルイス・キャロル(原作)、ジョン・テニエル(絵)、楠本 君恵(訳) グラフィック社刊より)

♣ ルイス・キャロルとマクミラン・アリス

ルイス・キャロルとマクミラン・アリス
1871年に続編『鏡の国のアリス』も出版した「マクミラン社」は、キャロルの篤い信頼をかちえ、その後150年を超えてテニエルの挿絵とキャロルの指示に沿って編集されたオリジナル版「アリス」シリーズの出版を続けました。また、その長い歴史の中で、更に子どもたちに親しみやすいようにと、テニエルの監修のもと、オリジナルの線画に美しい彩色を施しました。

それらの美しい彩色画を含め、オリジナルの出版社であるマクミラン社が守ってきた
「アリス」シリーズの世界観とイラストの数々がマクミラン・アリスです。『不思議の国のアリス』が大好きなファンの皆さんや、まだご存じでない皆さんにも、アリスの不思議な世界を、もっと楽しんでいただきたいという、願いと共に受けつがれてきました。

♦ アリスの作者たち

Lewis Carroll
Lewis Carroll
ルイス・キャロル(1832-1898)
作者。英国チェシャー州生まれ。本名 チャールズ・ラトウィッジ・ドッドソン。オックスフォード大学で数学の教師を務めながら、『不思議の国のアリス』、『鏡の国のアリス』などの児童書をはじめとする著作を遺しました。アリスのお話にも、三段論法による議論や謎解きなど、数学にまつわるやりとりが出てきます。一方、家族や知人に自作の芝居やショーを見せたり、アマチュア写真家として多くの有名人を撮影したりと、多才でマメな趣味人でもありました。
Sir John Tenniel
Sir John Tenniel
サー・ジョン・テニエル(1820-1914)
『地下の国のアリス』以外の全てのオリジナル版アリスの挿絵画家。16歳の時、英国芸術家協会に初めて油彩画を出展したのが画家としてのスタートでした。1840年代に『英国の鳥の本』や、トマス・ジェイムズが採話した『イソップ物語』などを含む多くの出版物に挿絵を描きました。絵入り週刊誌『パンチ』で政治風刺漫画家として働き始め、50年以上も掲載を続ける人気画家になり、1893年には、ヴィクトリア女王よりその功績によって爵位を授与されました。

♠ 彩色画家たち

Harry Theaker
Harry Theaker
ハリー・シーカー(1873-1954)
ジョン・テニエルの挿絵に彩色した、高名な水彩画家。
1911年、テニエルによる『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』の白黒の挿絵のうちそれぞれ8枚ずつ計16枚を彩色するようマクミラン社から依頼を受けました。今日のアリス像と切り離せなくなった、青いドレス、白いエプロン、青い縞のストッキングという伝統的なアリスの装いはシーカーのアリスに始まっています。
Diz Wallis
Diz Wallis
ディズ・ウォリス
ジョン・テニエルの挿絵に彩色をしました。
リアルな挿絵でよく知られた女流画家で、伝統的な技法を使って繊細な作品を創作し、30冊以上の本に挿絵を描いています。
1995年に『アリス』の出版130周年を記念するために、マクミラン社よりテニエルの残りの白黒のオリジナル画すべてに彩色するよう依頼されました。

♠︎ ストーリー

『不思議の国のアリス』
『不思議の国のアリス』
主人公アリスが懐中時計を持ったおかしな白ウサギを追って深い穴に落ちると、そこは不思議の国でした。チェシャー・ネコや三月ウサギ、帽子屋、ハートの女王さまなど、個性豊かなキャラクターたちが繰り広げる騒動は、まるで夢の中の出来事です。
『鏡の国のアリス』
『鏡の国のアリス』
暖炉の上の大きな鏡を通り抜けた向こうの世界はチェスの国。おしゃべりする花や、ダンディなたまごのハンプティ・ダンプティらに出会いながら、アリスは女王をめざします。最後に勝負に勝ったのはだあれ!?
Cat

♠ マクミラン社が出版したオリジナル・アリスは4冊

『地下の国のアリス』
『地下の国のアリス』
1864年製作/ 原題 “Alice’s Adventures Under Ground”
知人のアリス・リデルに、キャロルが語り聞かせたお話から生まれました。挿絵もキャロルによる、一点物の本。
これが『不思議の国のアリス』の原型です。手書きの本は一冊だけですが、1886年に、キャロルによってマクミラン社から、ファクシミリ版による復刻版が出版されています。
『不思議の国のアリス』
『不思議の国のアリス』
1865年出版/ 原題 “Alice’s Adventures in Wonderland”
『地下の国のアリス』を、出版のために加筆修正した作品。挿絵はジョン・テニエルが担当し、『地下の・・』のキャロルの設定を活かしながらも、天才二人の情熱が生んだ全く別な作品になりました。
『鏡の国のアリス』
『鏡の国のアリス』
1871年出版/
原題
“Through the Looking-Glass and What Alice Found There”
『不思議の国のアリス』が出版される前から、キャロルが秘かに構想を温めていた続編。今ではアリスの象徴になっているカチューシャやストライプの靴下(ストッキング)は『鏡の国のアリス』で描かれています。
『子ども部屋のアリス』
『子ども部屋のアリス』
1890年出版/原題 “The Nursery Alice”
幼児向け『不思議の国のアリス』。
キャロルによって、5歳以下を対象年齢に、短い文章と簡単な表現で書き直されたものです。物語は作者が読者に語り掛ける形で進み、ジョン・テニエルによって大きく描き直された挿絵には、彩色が施されています。
表紙絵のみ、キャロルの友人であるガートルード・トムソンによって描かれました。
Rabbit